【観国之光 332】レジャー施設の栄枯盛衰 閉園あれば新装開業も 本社論説委員 内井高弘


リニューアルオープンした西武園ゆうえんち。昭和レトロは来場者のハートをつかむか

 新型コロナウイルス禍で客足の減少に苦しんでいる業種の一つにレジャー施設がある。長期間に及ぶ休業や時短要請に耐えられず事業継続を断念するところもあれば、リニューアルオープンし、攻めの営業を展開するところもある。

 遊園地やテーマパークなどレジャー施設は誘客効果があり、地域への貢献も大きい。旅館・ホテルにとっても近くにあれば宿泊にもつながるので、閉園は痛手となる。

 「かしいかえん シルバニアガーデン」(福岡市)は今年末、65年続いた遊園地を閉じる。最盛期には年間60万人ほどの入園者があったが、レジャー需要の多様化や少子化などで年々減少し、2019年度には約27万人まで落ち込んでいた。そこにコロナ禍。「設備の老朽化やコロナの影響による利用者減」を理由に閉園に踏み切った。

 砂で作られた巨大なアートなどが人気の館山ファミリーパーク(千葉県館山市)。コロナで来園者が減り、5月末に閉園した。14年に公開された吉永小百合さん主演の映画「ふしぎな岬の物語」のロケ地ともなった。閉園を聞き訪れた人からは「残念」「寂しい」といった声が相次いだ。

 長野県塩尻市にあるテーマパーク「チロルの森」もコロナ禍の影響を受け、昨年11月、21年の歴史に幕を下ろした。

 コロナ禍のなか、新たな一歩を踏み出した施設もある。昨年秋から休業していた「西武園ゆうえんち」(埼玉県所沢市)は装いも新たに5月19日にオープンした。

 1960年代の高度経済成長期の日本のまち並みをほうふつとさせる商店街を再現し、昭和の懐かしい日常に入り込める仕掛けを随所に施している。

 昨年8月末に閉園した「としまえん」(東京都練馬区)の跡地には、人気映画「ハリー・ポッター」のテーマパークが23年にもオープンする予定だ。

 栄枯盛衰は世の常とはいえ、歴史ある施設が退場を迫られるのは何ともやり切れない。

 6月1日から新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が延長され、レジャー施設も再開に向けて動きだした。

 例えば、東京ディズニーランド・シーは千葉県によるまん延防止等重点措置の再延長を踏まえ、6月20日までの間、運営時間を午前10時から午後7時までとする。

 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、平日の営業を再開するが、土日曜は臨時休業を継続。入場者数は5千人に制限する。USJは「安全衛生対策を実施し、安全安心なパークを提供する」としている。

 営業再開で人出が増え、感染者が増えることがあってはならない。感染対策をより徹底してほしい。

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